アカデミー賞 国際長編映画賞「ドライブ・マイ・カー」ってどんな作品

2022年1月、“アカデミー賞の前哨戦”として知られるビッグアワード「ゴールデングローブ賞」の発表がありました。そのビックアワードで外国語映画賞を受賞したのは『ドライブ・マイ・カー』。村上春樹氏の短編小説集「女のいない男たち」に収録された短編を濱口竜介監督が映画化した作品です。

そして臨んだ3月27日のアカデミー賞 2022の授賞式。『ドライブ・マイ・カー』は、2009年に滝田洋二郎監督作品である「おくりびと」が受賞して以来、13年ぶりの快挙となる国際長編映画賞を受賞しました!日本作品の受賞は2回目となります。

また惜しくも受賞とはなりませんでしたが、本作品は作品賞、監督賞、脚色賞にもノミネートを果たし、国際長編映画賞を合わせると合計4部門。この功績は素晴らしいもので、アカデミー賞の歴史における日本映画への最大級の評価と言っても余りあるものだと言えるでしょう。

今回は、その話題作『ドライブ・マイ・カー』について取り上げたいと思います。

作品情報

製作年:2021年

製作国:日本

配給:ビターズ・エンド

上映時間:179分

映倫区分:PG12

監督・脚本:濱口竜介

原作:村上春樹

あらすじ

舞台俳優で演出家の男は妻と穏やかに暮らしていた。そんなある日、思いつめた様子の妻がくも膜下出血で倒れ、帰らぬ人となる。2年後、演劇祭に参加するため広島に向かっていた彼は、寡黙な専属ドライバーの女と出会い、これまで目を向けることのなかったことに気づかされていく。

登場人物(キャスト)

家福悠介(西島秀俊)

渡利みさき(三浦透子)

高槻耕史(岡田将生)

家福音(霧島れいか)

アカデミー賞での評価基準

アカデミー賞における大きな評価基準は、2014年以降大きく変化したと言われています。現在の評価で重要とされているのは『いま世界がどんな課題を抱えているのか』、そんな時代に『我々はどのように生きていくべきなのか』といった現代社会の姿を明示し、世界に発信している作品かどうかという点です。

『ドライブ・マイ・カー』はなぜ評価されたのか

『ドライブ・マイ・カー』は、コロナ禍でさらに浮き彫りになっている「世界が抱えた課題」に対する提言が含まれています。それは「コミュニケーションの不全」とそれを乗り越えたり、改善することへの可能性です。

この作品の中では、主人公・家福は妻の音と満ち足りた生活を送っていました。しかしながら、妻・音には不倫を続けているという秘密があり・・・という妻とのコミュニケーション不全を描いています。

一番近くにいて一番信頼出来るはずの家族のことが分からないという状況の中、妻は秘密を抱えたままこの世を去ってしまいます。聞けなかった真実、出ない答えに家福は静かに心の淵で、長い間もがき苦しみ、そして自分自身が見ることを拒んでいた自分の中の空白に目を向けはじめます。

私たちの日常に存在する『わかったつもりになっていて決して理解できないこと』、また

『あの時こうしておけばよかった』『あそこで一歩踏み出すことが出来なかった』という葛藤。世界的にインターネットを通じたコミュニケーションは爆発的に伸びているものの、他者を理解し、他者の本心を分かろうとする部分からは酷く遠のいてしまっているのが現実ですよね。本作の主人公の家福は、寡黙な専属ドライバー・みさきとの会話を重ねていく中で、自分の心の葛藤や悲しみと向き合う旅路の果てにひとつの解決策へとたどり着きます。

最後に

今回アカデミー賞でノミネート、受賞と快挙を成し遂げた『ドライブ・マイ・カー』。現代を生きる人が避けてしまっているかもしれない、コミュニケーションというものの本質を描き出している作品だと思います。日常で、ふと目を背けたり逃げてしまっていることに、どう向き合うべきかそんなヒントとメッセージがいっぱい詰まっています。素晴らしい作品というだけで見る価値はありますが、この作品のメッセージに触れ、自己を省みるチャンスを得るために映画館で見ることをおすすめします。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする